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統合医学 とは Integrative Medicine の略であるが、欧米では東洋医学などの伝統医学を意味する Alternative Medicine(代替医学)に代わって、近年この言葉が用いられるようになってきている。 単なる東洋伝統医学にこだわらずに、西洋医学の知識を踏まえた、より一層高次の医学を目指す姿勢も感じられ好ましい。
診断における西洋医学の価値は非常に大きいが、治療に関してはどうであろうか?
世界の多くの国で伝染病のほとんどが消滅あるいは減少するなど、細菌などの感染症に関しては一時勝利宣言まで出されたが、近年新たな病原菌や耐性菌問題がクローズアップされ、むしろ突然変異により抗生物質に対応する細菌側の勝利がささやかれるようになってさえいる。
これは人間にあだなすものは徹底的にたたき排除すればよいとする近代西洋医学の基本的テーゼの破綻の結果であろう。医学に限らず西洋文明は自然との共存より、それを支配し征服することに目的をおいてきた。この考えが誤りであったことは多方面において指摘され反省されつつあるが、治療医学においては未だ不十分であり、依然として病巣を切除し、病原を叩くことが治療の根本主題になっている。こういった病原を一方的に叩くという治療手法の結果、MRSAなどの重症感染症が問題となってきているのが現実である。このような場合、中国伝統医学では免疫力向上を意図しつつ、さらに抗菌作用を持つ生薬を併用し煎じ薬として一緒に服用することで対応する。つまり人体の構成物質である、「気・血・津液」の量を補い、流れの滞りを調整することが免疫力向上につながる。この手法を用いることでMRSAなどに対しても1ー2週間程度の服薬で十分対応できるのである。
日本人の3人に一人が死亡する、現代の最大の難病といえるガンに対しても同様のことがいえる。つまり、免疫力の向上を行いつつガンを叩くことが必要といえる。従来全世界で膨大な研究開発費を消費しながらも有効な免疫療法が見つかっていない。これは免疫向上を個人個人個別に対応する必要があることを誤認し、全員に有効な免疫療法剤を開発しようとしてきたことにある。中国医学の診断治療は、まさに「同病異治」という言葉に表されるごとく、たとえ同じ疾病であっても一人ひとり個別に診断治療することが原則であり、本来の免疫療法のあり方の趣旨に合致する。
治療の目的はまず「気・血・津液」の流れを整えることにあり、ついで徐々に流れが正常化するにつれ、その量を増やすべく消化器や呼吸器などの内臓の力を付けることにある。こういった一連の生薬による治療が免疫力向上につながるわけで、実際の治療ではガン細胞を叩くための生薬をこれに加えて服用する。治療上の基本となる煎じ薬は比較的廉価な植物薬が中心になるが、それなりの効果を出すためには薬量も中国で用いられている程度(日本漢方の一般薬量の3−5倍)が必要になる。
さらに抗ガン効果を上げるためには、より薬効の高い動物薬や鉱物薬の中からその目的に合致するものを選択使用することが必要である。動物薬の場合生薬自体の持つ臭気、味、雑菌混入のおそれなどいくつかの問題を抱えている。そのため古来よりの「黒焼き」の理論を取り入れ、低温下で蒸し焼きとし炭としたものを散薬(粉薬)として服用する方法を用いている。
また従来重金属を含有するため古代以外はほとんど用いられなくなっていた鉱物薬には、ガン治療に欠かせないものがある。内服では危険がつきまとうため、粉末にしてワセリンに混入し軟膏剤として用いている。これをガンの種類によって決められたツボに1日数回塗ることで、原発巣を叩くことのみならずリンパ系や静脈系、動脈系の転移を防ぐことができる。軟膏剤には抗ガン効果を目的にしたもの以外に、ガンの痛みを和らげる目的のもの、胸水や腹水を減らす目的のものなどもある。
煎じ薬、動物炭薬、軟膏剤の3種の治療法の組み合わせにより、従来の煎じ薬単独の頃よりも治療効果は格段に向上してきている。 |
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欧米で東洋医学などの伝統医学を意味する言葉として近年用いられるようになっているintegrativeMedicine(統合医学)は、東西両医学の長所を取り入れ協力することで、人類最大の難敵ガンに立ち向かおうとする姿勢を明らかにすることができる点で好ましい用語である。
数千年に及ぶ経験を背景とする治療医学としての東洋(中国)医学と、精緻な診断力を持ち、麻酔学の発展を背景とする外科手術の技術的発達を持つ西洋医学を組み合わせることが統合医学としての骨子であろう。
東洋医学の意味するものが、現在日本で一般に行われている漢方エキス剤(保険収載)を使いこなす程度の能力ではないことをまず明らかにしなければならない。病名と処方を対応させる「方病相対」という殆ど学問根拠のない方法によってエキス剤を使う程度のことを、東洋医学あるいは漢方と思ってはならない。
江戸時代以降日本漢方の歴史の中には、疾病の原因が何か、それによって体内でどのような変化が起こっているのか、その結果がどういった症状として現れているのかといった分析をすることを、むしろ忌避する傾向にあった。その結果が「方証相対」と呼ばれる方法であった。「証」という身体状況の分析結果は即処方につながるため、葛根湯証とか小柴胡湯証という風なものであった。前に述べたようにその証の決定の診断過程に、身体の生理・病理観を持たないため、当然狭隘なものとならざるを得ない。
これに対して本来の中国医学の診断方法は、四診(望診、聞診、問診、切診)と呼ばれる診断方法を駆使し、病因、病理、病機の分析を経て証を明らかにするもので、気陰両虚証とか肝腎陰虚証などという証の名前で、それに対して用いられる処方も、長い歴史の経験の中から作り出された処方の中から、対象とする患者の状況にもっとも適合する処方を選択するのである。これを「弁証論治」と呼ぶ。修練による弁証力の向上と、古典の学習による的確な治療薬の選択が必要である。
たとえば通常ガン患者に対しては12−15種類の生薬を組み合わせ煎じ薬として用いる。当初は気血津液の流れを正常化することに主眼を置き、流れが改善するにつれ徐々にこの類の生薬を減らしていき、同時に内臓の力を強化し気血津液の不足を補うことを目的とする生薬を増やしていく。従って1−2週間毎の外来診察の度に、四診の所見に基づいて処方内容は変化する(生薬数は同程度のまま)。同一の処方薬を数ヶ月にわたって用いるようなことはあり得ないのだ。
またしばしばガン治療においても気功が話題になる。気功の本来のあり方は「内気功」と呼ばれる、自分で早朝などに深呼吸をすることで、天空に満ちている清気を取り入れることである。しばしば「手当」「念力」などと称して、術者が患者に気を入れるという方法、いわゆる「外気功」が行われている。私はこの方法はまずインチキと思っており、百害あって一利無しと言い切る。日本でもっとも信用できる「日本気功協会」(会長山本正則氏)も外気功はいっさい認めていない。なまじ術者は気を操作できるだけにたちが悪い。なぜならば世俗社会の中で営利を目的とすることを日常行えば、当然のごとくその人が持つ気は汚れたものとなる。天空の気を取り入れその気を患者にあげるだけといっても、それが術者の身体を通過する以上その段階で清気は邪気に変化し、患者に悪影響を及ぼし、当然ガンも増悪する。
実際に用いられる処方は弁証に基づき基礎となる処方を選択し、それを患者の実際状況に応じて加減する。たとえばあるガン患者が肝腎陰虚証、痰毒鬱結証と診断(弁証)されたとすると、まず初めに行う治療は身体の不足(この場合は肝腎陰虚)を補うことではなく、痰毒という身体にとって邪魔な毒を除き、気・血・津液という身体を構成している物質の流れを正常に戻すことである。マスコミなどでガンに効く漢方薬として取り上げられるものの殆どが気血津液の量を増やすための薬であり、流れを正常化しないままにこういった薬を用いれば、川をせき止めておいてダムを放流するようなもので、かえってガン細胞に栄養をつけるような結果になる恐れすらある。
...さらに詳しくは 「身体にやさしいガン治療(講談社:小高修司著)」 をご覧ください。 |
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今回は百人以上のガン患者を漢方薬で治療してきた上で、徐々に考えるようになってきたことに触れてみたい。
初めに結論的なことを云うと、ガン患者の病気の経過には大きくステップする時期があり、その時期を越えてしまうと治すことはまず不可能になってしまう。この限界点(閾値いきち)に関わるものが何かは今は明らかでないが、どうもガン細胞が出す毒素のようなものではないかと思っている。ガン患者の終末には悪液質(あくえきしつ)と呼ばれる全身の衰弱状態が見られるが、これもその毒素によるものといえれば、その量が未だ少な目とはいえこの閾値に関わる物質も同じものである。以下この正体不明の物質を「ガン毒素」と呼ぶことにする。
この限界点の指標は、西洋医学で言うステージ分類やTNM分類とは関係なく、むしろ食事がちゃんと食べられるかどうか、大小便の排泄は大丈夫かと云った日常生活がほぼ正常に出来るかといったことの方が密接である。つまり肺、脳、肝臓、リンパ節などに転移があっても、一般状態がおおむね正常であるならば、治癒や症状緩解に向けることは可能といえる。
しばしば転移の有無が予後を決定するのに重要であるかの如く多くの医師は云うが、私は原発巣(初めにガンが出来たところ)のガン細胞が一番その毒素を出す力が強いと思っている。従ってガンが発見されたとき、既に手遅れですと云われ手術が出来ない場合は、既にガン毒素がかなり溜まっていることになり、遠隔転移の有無よりもより重要なことと云える。これに反し原発巣の切除がうまくいった場合は、転移があっても予後は比較的良いといえる。
従って早いうちにガンが見つかれば、原発巣のガン細胞の数もまだ少なく、ガン毒素の溜まりも少ないので、予後はよいことになる。西洋医学の分類と予後に関しては相関することになる。やはり早期発見早期治療が重要な要素であることは確かである。 0
従来こういった観点から、ガンはあくまでも全身疾患であり免疫力を強くすることが最も重要であるとしながらも、原発巣を手術で切除することは勧めていた。但し現行のような周辺組織も大きく切除することは、様々な機能障害を残すことからも不必要としてきた。
私のクリニックを受診したガン患者187名のうち、31名が当院受診時点で原発巣を含めて切除を終え、再発や転移がないといわれて来院した。最も長く経過を見ている患者は既に4年経過、1年以上経過を見ているものは11名であるが、全例再発をしていない。 ガンが見つかったにもかかわらず西洋医学の治療を全く拒否して、当院を受診した患者のうち、前に述べた或る閾値を超える前に受診したと思われる患者が3人居る。一人は74歳の男性。胃の上部(噴門)に出来たガンで、胃カメラをした段階で後1ヶ月ぐらいで食事が食べられなくなるでしょうと云われ、紹介されて受診。型の如くの診察の結果、漢方煎じ薬と動物炭薬の粉薬、動物炭薬+鉱物薬の軟膏の3者併用療法開始。1年後の現在も異常なく生活している。
二人目は50歳の両側同時発症の乳ガン患者。乳房切除を拒否して当院受診。同様の治療(もちろん薬は個人個人全く異なるが)により、明らかに腫瘤が縮小している。この患者の経過で興味深いのは、乳房の腫瘤に痛みが起こると、それに引き続いて腫瘤が縮小すると云うことを、数週間ごとに繰り返すという。初診は’98年2月だが、既に誰が触っても明らかな程度に縮小している。
三人目は58歳男性の膀胱ガン。やはり手術を拒否して'97年12月当院受診。当初あった血尿や痛みなどの自覚症状は消失し、一般状態も問題無く経過していたが、受診半年後に自然のままに生きると云い来院しなくなっている。
いずれもステージ分類では2の患者だが、ガン毒素分類からすれば治癒可能の時期にあったと考えられる。これらの患者の経験から少しずつではあるが、必ずしも原発巣の切除にこだわらなくても、ガン毒素が閾値を超えていなければなんとか良い経過を保つことが出来るのではないかという考えに変わってきている。
もちろん発ガンの大きな原因となる飲食の節制(特に冷飲食の禁止)、ストレスを溜め込まず上手に気晴らしをするといった、日常生活の留意点をしっかり守らず、従来と同じ生活をしていれば再発することは明らかである。
またガンとはいえ自分の身体の中に出来た不肖の子供のようなもの。放射線や抗ガン剤のような治療を行えば、それは不肖の子供ではなく、鬼や悪魔のようなものに変わってしまい、ますます悪性度が高まり我々の方法でも治すことが困難になってしまう。ガン細胞が出来る一番のきっかけは、遺伝子レベルのRNAのちょっとしたずっこけに過ぎない。ガンになってしまったものでも、このRNAのずっこけを治せば砂上の楼閣を崩すが如く、ガンの治療もできるのではないだろうか。漢方の治療は的確な診断と治療に基づけば、この最初のRNAのずっこけを正すことに役立つのではないだろうか・・・? |
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