部位別ガン症例
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部位別ガン治療

症例詳細

  • 上部消化器ガン

    上部消化器ガン

    白花蛇舌草30g+白毛藤30gが基本。
    木鱉子30gを10日間連続使用し、3-5日間休止。
    木鱉子は肝脾胃に入り、積塊を消して、腫毒を化し、更に晩期疼痛を止める。
    但し有毒のため煎じるとき搗砕をしてはならない。
    これは甲状腺ガンや悪性リンパ腫にも使用可能。

  • 木鱉子とは?

    ・ナンバンカラスウリ(ウリ科ツルレイシ属)・生薬原料

  • 胃ガン

    N.K. 63歳 女  ‘11/9/21初診  stageⅣ
    ‘09/12 胃生検の結果GIST(消化管間質腫瘍)の診断。
    ’10/2 胃部切、術後内服化療するも浮腫、発疹のため中止。
    ’11/6 肝転移発見後肝部切。別の内服化療。
    下腹部と下肢の浮腫と倦怠感を訴え、当院受診。
    その後、’11/12/17より副作用(全身の浮腫と発疹)強く化療中止。
    その後も断続的に内服と中止を繰り返す。

  • 治療経過1

    当初は浮腫と倦怠感を目標に治療。
    ‘12/9/21初診時処方
    (1) 牡蛎30g、磁石30g、姜半夏9g、枳殻6g、蒼・白朮(各)9g、炒酸棗仁24g、茯神15g、川?9g、知母9g、中麻黄4.5g、霊芝9g、炮附子6g、天花粉9g、白毛藤30g、白花蛇舌草30g、香附子9g、炒甘草4.5g 2x9T
    (2)田七粉3g、刺五加末2g 2x9T

  • 治療経過2

    4/20 朝、口苦あり。
    現症:脈診
      寸      関      尺
    右 緊按渋  沈滑有力   沈滑、長
    左 沈滑   沈滑     沈滑、長
    舌質 暗  舌苔薄白  舌裏の静脈の怒張有り
    治法:消塊、解鬱、補気陰、駆?解毒、消食

  • 治療経過3

    処方:(1)人参20g、葛根15g、丹参15g、熟地黄15g、川楝子9g、延胡索9g、赤芍9g、炮附子5g、烏頭5g、白毛藤30g、石見穿30g、霊芝9g、焦山楂12g 3x14T
    木鱉子30g 3x10T(10日連続し、4日休薬)
    (2)田七粉3g、刺五加末2g 2x14T
    以後、再発もなく経過。

  • 乳ガン

    乳C方一式:白花蛇舌草30g、蚤休30g、天葵子15g、馬藺子9g、紫荊皮4.5g
    「乳C方」は湖南の名医・劉炳凡老師を参考に。
    従来乳ガンには理気活血を主として治療を行ってきたが、その頃より乳C方を用いるようになって格段に治療成績が向上している。

  • 乳C方の構成生薬

    白花蛇舌草:味苦甘、寒。帰経は心・肺・肝・脾・大腸。
    蚤休(草荷車,七葉一枝花):味苦、性微寒、肝に帰す。清熱解毒、消腫止痛、定驚を主作用とする。
    天葵子:味甘微苦、性寒。肝・脾(胃)・膀胱に帰す。清熱解毒、消腫散結、利水通淋が主作用。
    馬藺子:味甘、平。肝・脾胃・肺に帰す。清熱利湿、解毒殺虫、止血定痛が主作用。
    紫荊皮:味苦、平。肝経に帰す。疏肝通絡、解毒通淋。

  • 乳ガン症例

    S.A. 49歳 ‘08/4/1初診 stageⅢB
    術前化療、全摘、術後化療+放治+H.療法。
    ‘09/11/13 CEA40.1,以後漸減し‘12/3/12CEA2.5
    ‘12/5/16(初診後4年経過)の処方:
    (1)人参9g、葛根15g、丹参15g、熟地黄15g、炒酸棗仁24g、茯神15g、川芎9g、知母9g、炮附子6g、烏頭3g、乳C方1P、霊芝9g、砂仁3g 2x18T
    (2)田七粉3g、刺五加末2g 2x18T

  • 肺ガン

    症例:U.T. 59歳  男  ‘00/11/30初診
    右上葉の腺ガン、’00/9/27 上葉切除。PT2N1M0(stageⅡB)。以後大過なく経過。
    ‘05/12/28(5年経過)の処方
    (1)粉防已6g、黄蓍15g、茯苓15g、枳殻6g、蒼・白朮(各)9g、麻黄4.5g、炮附子3g、烏頭2.5g、人参9g、乾地黄15g、白花蛇舌草30g、半枝蓮30g、霊芝9g、鶏内金6g、炙甘草6g    2x35T(23日分の原料を細末化して35日分とする)。
    (2)冬夏散2g+メシマコブ末3g 2x35T

  • 虫垂ガン

    症例N.A. 女28歳 初診2007/11/13
    ‘07/4/2 某病院で虫垂炎として虫垂切除。ガンと判明したため4/19 腹腔鏡下回盲部切除、リンパ節転移有り。p-stage Ⅲa。5月より化療(mFOLFOX)を毎月1回で6回行った。化療終了後の11月に当院初診。
    以後大過なく経過し、'12/4/24 血検と大腸ファイバー正常。5年経過により当院の加療終了。

  • 虫垂ガン最終診の処方

    (1)人参9g、山薬15g、熟地黄15g、丹参15g、炒酸棗仁24g、茯神15g、川芎9g、知母9g、姜半夏9g、蝉退4.5g、炮附子7g、烏頭7g、白花蛇舌草30g、白毛藤30g、檳榔9g、決明子15g、縮砂3g、霊芝9g 3x14T(1日分の処方を二日で服用)
    (2)田七粉3g 2x14T

  • 婦人科ガン

    厥陰肝経を温めるために「七洗い呉茱萸」15gの使用は必須。(大棗9g+乾生姜6gを加味)
    七洗い呉茱萸は宋板『傷寒論』厥陰病呉茱萸湯に記載。
    菝葜30g+莪朮(或いは蚤休)30gが基本。卵巣ガンは八月札12gも加味。莪朮30gの代わりに三稜9g+莪朮9g+川牛膝6gも可。

  • 子宮頸ガン

    症例:A.M. 33歳 初診:2009/7/25
    2008/6某大学病院受診,腫瘍径6cm、StageⅢb、poorly diff.sq.c.ca)
    7月初入院し化療+腹部外照射(28回)、モルヒネ内服併用。9月初に膣内照射(3回)。2009/2原発部位にガン再発。5/12子宮全摘+両卵巣切除後退院。6月上旬内服化療開始するも1週間で中止。腎機能悪化のため左腎ドレーンを留置。
    当院初診後、体調良く、腎ドレーン’09/11/13抜去し、腰痛も緩解。

  • 子宮頸ガンの症例

    以後、時々膣部より生検を行い、’10/1/15ではpoorly diff.sq.c.caの診断のため、1/25にレーザー焼灼。’10/8/2レーザー焼灼、以後生検正常になる。’12/5/11 PET-CT:異常なし。乏尿のとき、drainを挿入。
    最近、疲れると右腰背痛。丸5年経過。

  • 前立腺ガン

    Uro.系ガンに頻用される竜葵は、性寒のため使用は制限されるべきだが、附子などと併用することで対処する。
    「前立腺C方」:竜葵(もしくは石見穿)30g+劉寄奴15g+八月札(アケビの実)12g+王不留行9g

  • 前立腺C方

    竜葵:竜葵の全草。苦、寒。清熱解毒、活血消腫。主治:療瘡、癰腫、丹毒、跌打扭傷。
    劉寄奴:奇蒿の帯花全草。辛微苦、温。破瘀通経、止血消腫、消食化積。主治:経閉、通経、癥瘕、金創出血、便血、尿血、癰瘡腫毒。
    王不留行:麦藍菜の種子。苦、平。活血通経、下乳消癰。主治:婦女経行腹痛、乳汁不通、乳癰、癰腫。
    八月札:木通の成熟果実。微苦、平。疏肝和胃、活血止痛、軟堅消結、利小便。

  • 前立腺ガン症例

    08-11-28 PSA 0.05処方:(1)人参9g、黄耆15g、生地黄15g、砕塊方Ⅱ1包、前立腺C方1包、炮附子3g、烏頭1g、霊芝9g、炒甘草4.5g 3x14T
    (2)蛭桂散1g、田七粉3g 2x14T
    5年生存。

  • 各種肉腫、血液系ガン

    蚤休(=草荷車=七葉一枝花)30gが基本生薬。
    人参、熟地黄、丹参などの薬量を大幅に増加することで、急激に血液データの回復を見る可能性もある(骨髄異形成症候群:MDS症例での経験)

  • 膵臓ガン

    -手遅れになりがちで多くが予後不良-

    膵臓ガンは自覚症状の現れるのが遅く、発見がどうしても手遅れになりがちなため、進行状態で発見され、初めから積極的な治療は不可能ですと宣告される事例が多いようです。
    膵臓ガンの最も重要な危険因子は喫煙といわれますが、タバコのnitrosamineが原因とされています。
    腹痛、食欲不振、体重減少などがよく見られる初発症状ですが、時には悪液質、腹部腫瘤の触知、黄疸、腹水など厳しい状況のなかで受診する患者も多く、すでに肝臓や肺への転移が存在している場合もあります。
    今まで膵臓ガンで受診した患者は10名ですが、全員ステージⅢ,Ⅳであり、予後が不明の方もおられますが、状況から考えて全員亡くなられていると思われます。

    膵臓ガンの症例 担当医の心ない一言で病状が急に悪化

    Sさんは73歳の男性。高齢でしたが、私のクリニック受診中の患者さんの紹介で1998年2月に初診しました。
    ほぼ2年前の平成8年暮れに黄疸が突然現れ、いろいろと検査した結果で膵頭部ガンと判明し、某県立病院で2月下旬に膵頭部、十二指腸、胃の1/3、胆嚢の切除を受け、手術中に放射線治療を1回行いました。
    膿瘍のため術後もドレーンを挿入し、隔日に洗浄しているという状況で私のクリニックに来られました。
    口渇が強く、牛乳や水など冷飲することが多く、大便は軟便がちで、薄い小水が多く、夜間尿も2回ありました。
    腹診すると下腹部は軟弱でしたが、上腹部はがちがちで抵抗圧痛ともに強く、下肢の浮腫もかなり目立ちました。
    脈診は全般に滑弦と強い脈でしたが、重按すると細脈になり、内臓の働きが全般に落ちていることと、毒(気・血・津液の流れの滞り)がたくさん溜まっている状態が明らかでした。
    舌診でも舌の色の赤みが少なく、むくんだように大きめで、しかも白い苔が厚くべっちょり付着していました。
    爪の半月も数、色、大きさとも少なく、舌の所見と併せ、腹の中の冷えが目立つ所見でした。
    中国医学的にいえば、気と津液の流れの停滞が著しく、これが直接的な膵臓ガンの発ガンの理由であろうと推測できました。
    もちろん背景として陽気不足による肺や胃腸など全般的な内蔵の機能低下がありますので、徐々に気・血・津液の流れを改善してから、弱っている内臓の働きを強化する治療に切り替える必要があります。
    煎じ薬による治療以外に、動物炭薬を漸増し、軟膏治療も併用しました。
    膵臓のインシュリンの分泌低下のため、インシュリンの注射を併用していましたが、貧血や低蛋白血症もあり、浮腫がなかなかとれませんでしたが、徐々に多少の改善をみましたし、何より全般的な体調が良くなり、9月初め頃には本当に元気になりました。
    時々輸血をしていましたが、食欲もあり大小便も調子よく、暮れにはドレーンからの排液も少なくなったため、1999年の正月にはドレーンを抜去できました。
    このように全般的な体調も良く、一見経過も良いため本人は自信を持ち、「快気祝いをするか」と冗談を言うほど、もう治ったかのごとく自信満々でした。ところが、2月2日に受診した際、上腹部に浮腫が診られたため、ドレーン抜去に伴うトラブルではないかと疑い、県立病院を受診することを勧めました。
    ところが病院を受診した際に、担当医から「末期状態なのだから、この程度のことは当たり前だ」といったことを言われ、大変なショックを受けてしまい、それ以後急速に体調を壊してしまい、ついには漢方薬の服用も出来なくなり、吐血し腎機能の急激な低下をみて、2月16日には亡くなってしまいました。

    一体どうしてこのような悲劇としかいいようがない事態が起きるのでしょうか?
    担当医がもう少しでも患者さんのことを思いやり励ましてくれさえすれば、厳しい状況なりにずっと長生きできたのではないかと思うと残念でなりません。
    大病院偏重のため、多くの勤務医は、これではいけないと思いながらも、あまりの多忙のため、個々の患者さんをじっくり診察する時間がとれず、つい検査データのみに頼り、つい言わずもがなのことを言ってしまったりすることが多いのではないでしょうか。
    例えば腫瘍マーカーなどの採血を受けた後、検査後ずっと不安でいた患者さんが、数週間後に受診したときに、検査の数値が良くなりホッとしたとします。
    ところがこのとき、患者さんに「本当に良かったですね」と一緒に喜び、励ましてあげればよいものを、「また悪くなるかもしれませんよ」と言う医者がいるのです。
    本人は気を抜かないようにというつもりなのかもしれませんが、あまりといえばあまりな言いぐさではないでしょうか。
    こういった事例には事欠かないほどですので、医療者は自分が患者サイドに立ったときにどう感じるかということを常に念頭に置いて、患者さんに接することが必要だと思います。

    膵臓ガンに対応するツボ:軟膏を塗布する場所
    膵臓ガンに対応するツボ:軟膏を塗布する場所

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  • 腎臓ガン

    -気滞とともに瘀血を除くことが治療の眼目-

    腎臓ガンは瘀血型に属するガンですので、気滞と同時に瘀血を除くことが治療の眼目になります。
    とは言ってもあくまでも四診に基づいた診断(辨証)に則り、処方を組みますので、このとき気滞や瘀血のことを配慮するという意味になります。
    腎臓ガンで受診した患者は7名です。うち半年以上服薬が可能であった症例3名は全例現在も元気で経過観察中です。
    3名はいずれもインターフェロンの注射を手術後に受けており、うち一名は効果無しですぐやめております。欧米の専門書によれば、20~30%の縮小効果が発表されているが、延命効果はないと書かれています。

    症例(1) 手術により切断された経絡の機能を補う処方

    Sさんは44歳男性。
    1997年春頃より右下腹部の脹満感がありましたが、触診で異常がないため放置していたところ、秋に健診で右の腎腫瘍を指摘され、某大学病院を受診しました。
    1997年10月15日に右腎臓摘出(腫瘤の大きさは直径5.5cm)、リンパ節への転移無く、腺ガンの診断でした。
    ステージはⅠと考えられます。
    手術後インターフェロンの注射を始め3本終了時点の、11月10日紹介され私のところを受診しました。
    インターフェロンの注射は暫くして中止したそうです。
    Sさんの母親が腎臓ガンと乳ガンの既往歴があり、姉も乳ガンで手術するというガン家系の一員です。
    私のクリニック受診前はビールを飲むなどもしていましたが、その後は飲食に気をつけています。
    診察の結果は、腹診で上腹部が堅く圧痛もあり、気の流れの滞りが示唆されましたし、舌質の色は赤みが薄く、身体の芯の冷えが考えられました。
    また舌苔が厚いことと、肺と胃腸の脈が一見すると強いのに、重按すると弱くなってしまうことから、肺と胃腸の働きが低下し水分の処理能力が衰えているにもかかわらず、処理できる以上に飲む量が多いなど飲食の不摂生が明らかになりました。
    腹診の時に気がついたことですが、手術痕は右側腹部を縦断しており、帯脈と呼ばれる経絡を切断していました。
    帯脈は腎脈との関連が強く、腎臓疾患に対し何らかの悪影響を持つと示唆され、経絡中の気血の流れを一刻も速く回復する必要性が痛感され、それは本来の腎ガンの治療方針に矛盾せず協調できることなので積極的に進めることにしました。
    私が手術をしていた頃を思い出しても、手術の切開をどういう風にするかを考えるとき、皮膚の紋理に沿って切開し術後の傷がなるべく目立たないようにするといった配慮はすることもありましたが、ガンの手術などの時には手術がやりやすいように皮膚切開するだけで、中国医学で重視する経絡のことを考える医師などまずいないでしょう。
    しかし経絡を切断してしまえば、少なくとも当初(どのくらいの期間か全く不明ですが)その経絡の流れが断たれ、関連する臓腑などに悪影響が出ることは当然考えられます。
    こういった意味合いからも従来の皮膚切開による外科手術は、可及的に内視鏡などを介した方法の導入により、なるべく切開線を短かくすることを目指すか、経絡の考えを導入して切開方法を再考するといった配慮が望ましいといえます。

    さてSさんには、基本的な治療方針に則り、煎じ薬、動物炭薬、軟膏の3者併用療法を行いました。
    初めは動物炭薬で吐き気が出たりしましたが、動物薬の種類を変えたりする事で、その後は問題なく服用できるようになり、現在は動物炭薬の座薬も併用しています。西洋医学的な諸検査も全く異常なく元気に経過しています。

    症例(2) 同じ投薬で鎮痛と制ガンを同時に実現

    Tさんは45歳の男性。1996年6月健康診断で血尿が指摘されましたが再検査をせず放置していたところ、11月に入ってトマトジュース様の血尿が始まり、某病院で腎臓腫瘍と診断され、某大学病院を紹介されました。
    1997年2月4日右腎臓摘出しましたが、腎動脈へ浸潤しており、ステージⅢbでした。
    2月17日より一年間の予定でインターフェロンの注射を毎週3回始めましたが、途中の9月より右足の第一指の痛みが始まり、次第に疼痛部位が拡大し肩、膝と全身化したため、10月15日まで合計105回打った段階で中止となりました。
    整形外科で診察を受けましたが、リューマチ反応は出ず、インターフェロンの副作用としても聞いたこと無いと言われているそうですが、やはり副作用だろうと思います。
    姉が卵巣ガンで私のクリニック受診中のため、紹介され1998年4月7日に受診しましたが、本人の受診目的は腎臓ガンの再発の懸念より、痛みの治療にありました。
    冷飲食の禁止や上手な気晴らしといった基本的な注意を伝えた後、診察を行いました。
    上腹部が冷たく堅く圧痛があることは他の患者さんと同じでしたが、臍の上下と側腹部にも抵抗圧痛が目立ち、舌苔が舌根部に厚いことから、気滞と湿邪の滞りが明らかであり、また脈が全体に沈で細く内蔵の機能低下が著しいことも示唆されました。
    何より特徴的なことは上腹部の肋骨下縁に沿うようにして山形に手術痕があり、特に右側は側腹部に至っており、中国医学の経絡理論から判断すると、肝・胆・腎・脾・胃の各経絡と任脉が完全に切断されている状態でした。このことが説明がつきにくい全身の痛みと内蔵の機能低下の大きな原因であることは十分考えられることです。
    事実幸いガンの再発はなく現在に至っていますし、痛みも瘀血を除き鎮痛効果を持つ乳香、没薬、三稜、莪朮などを使用することで、徐々に軽くなってきています。
    ただ肝・腎などの働きを補う生薬を多用しているにもかかわらず、肝・腎の脈状が思うように回復しませんので、使用する生薬の種類・量を考慮しつつ経過を診ています。
    ちなみに痛みが何故起こるかを中国医学では、気・血・津液の流れの滞りにより起こると考えます。
    さらに細かく考えて、気滞が主の場合は脹った感じを伴い、瘀血の際は刺されるような痛み、痰飲の場合は重だるさを伴うと言われています。
    ここで思い出していただきたいのは、ガン自体が気・血・津液の流れの滞りが直接の病因と見なされていることです。
    この患者さんの場合は腎臓ガンという瘀血が主因であるガンであり、しかも痛みも刺痛を主とすると言うことで、ともに瘀血を除くことが治療目標になります。
    つまり瘀血を除くことが鎮痛と制ガンの両方の目標になり、同種類の生薬で対応できることになります。
    こういう点も西洋医学では考えられない中国医学の特色といえます。
    またこの患者さんの場合残念ながら、炭末を服用すると悪心が強く、結局途中で動物炭薬の服用を中止とし、煎じ薬と軟膏治療で経過を診ていますが、現在再発もなく、痛みもほぼ無くなり順調に経過しています。

    腎臓ガンに対応するツボ:軟膏を塗布する場所
    腎臓ガンに対応するツボ:軟膏を塗布する場所

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  • 肝臓ガン

    瘀血を中心として気や津液の流れの改善を重視

    肝臓ガン 肝臓ガンで受診した患者は16名ですが、初回治療後に再発してから、しかも腹水がたまったり黄疸が出てから受診する重篤な患者が多く、予後は決してよくありません。
    ただここに紹介する患者は、縁者が従来から受診していた関係で、手術前に私のところを受診し、しかも病期の進行が早期であったため、良好な経過をとっています。

    再発を繰り返し、肝動脈を介して直接ガン組織にアルコールや抗ガン剤を注入するなどしてから受診した場合でも、QOL.の改善には役立つことが多いものの、進行し腹水が増加するなどのために、十分な効果を顕せない場合も多い。
    やはり基本は早期発見に尽きるといえます。

    肝臓が血液のプールとも言える臓器である関係から想像できるように、肝臓ガンは瘀血と密接な関係があります。従って治療には瘀血を中心として気や津液の流れの改善を重視して行います。
    なおしばしば他の臓器のガンが肝臓や肝内胆管に転移しますが、その場合は原発部位のガンの性質に従って治療をしますので、肝臓にガンが見られても必ずしも瘀血をターゲットにするとは限りません。

    肝臓ガンの治療といえば、インターフェロンという薬を連想する人も多いと思われますので、ここでインターフェロンについての考えを述べておきましょう。
    徐々に肝炎の中でもインターフェロンが有効なものとそうでないものとの鑑別が遺伝子検査でつくようになっておりますが、少なくとも無効であった症例は、従来いわれている肝炎(B型、C型)から肝硬変を経て肝ガンに移行する速度がいっそう速まることは確かなようです。
    将来インターフェロン療法の適応が限定されてくるでしょうが、現在のように肝炎に対する有効な治療法がないので、インターフェロンを使いましょうというような安易な発想で本療法を行うことは好ましくないといえます。

    一方で肝炎に対する漢方療法は、小柴胡湯などの柴胡剤のみを用いる事に拘るような治療法でなければ、非常に有効であり、肝炎から肝硬変、さらに肝ガンへの移行を防止する意味からも、今後積極的に検討されるべきと思います。
    特に抗ガン作用を持つ生薬として汎用される白花蛇舌草と半枝蓮は肝炎の炎症を除き、GOTやGPTなどの検査数値を低下させる働きも併せて持っているので、正しい診断(辨証)に基づいた基本処方に、これらの生薬を加味する方法は有用です。

    肝臓は全身の静脈血が集まり血液を浄化する場所でもあり、肝臓に作用するといわれている生薬の数は多いのです。

    先ほども書きましたように、肝ガンも瘀血が病因として重要視されているタイプのガンですので、駆瘀血薬を中心として用薬することになりますが、あくまでもどの薬を用いるかの基本は、四診に基づく辨証によることは他の臓器と同じです。

    肝臓自体は経絡の上から見ると、肝経、胆経、脾経、胃経、任脉など多くの経絡の通り道に位置しますので、ストレスを背景とする気の滞りや飲食による不摂生などと密接な関連を持つことになります。
    「気滞れば則ち血も滞る」といわれるように、瘀血は気滞や冷えに起因することが多く、冷飲食をしない、身体をクーラーなどで冷やしすぎない、上手に気晴らしをするなどの日常の養生が大切です。

    いっぽう黄疸を主症状とする場合も、津液の滞りである痰飲・湿邪が長期間溜まっていたために化熱し、「痰熱」「湿熱」と呼ばれる邪が溜まっているケースが多いので、上手な気晴らしとともに、飲食の節制(冷飲、多飲の禁止)を厳しく守る必要があります。
    季肋部や側腹部の痛みは気滞や瘀血によるもので、脹満感を伴う場合は気滞により、刺痛が主ならば瘀血によると区別できます。この自覚症状の改善は比較的容易で、むしろ比較的改善が難しいといわれる倦怠感でも1~2ヵ月の服薬でかなり改善します。
    腹水が溜まるのは末期で厳しい状況にあるといえますが、甘遂、芫花、商陸など内服では作用、副作用ともに強く使用が難しい生薬を、私のクリニックでは粉末にして軟膏剤(逐水膏、消膨脹膏)として繰り返し臍(神闕というツボ)に塗ることで、副作用もなく、腹水を除くことに効果を上げています。

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  • 肝臓ガンの症例

    -手術前の駆瘀血薬を主とした処方が招いた良好な予後-

    Nさんは68歳の女性。1990年11月と1992年6月、さらに1995年8月~10月にB型肝炎の診断のもとに入院あるいは外来治療で点滴などの治療を受けたそうですが、インターフェロンは使わなかったとのことです。
    1997年2月感冒後に咳が止まらず、血液検査をしたところ肝機能は正常だったものの、腫瘍マーカー(AFP)が上昇しており、CTやエコー、血管造影の結果、5月になって直径1.5cmの腫瘍が肝臓の左葉に見つかり、手術待ちの7月に来院しました。

    四診による診察の結果は、上腹部が堅く圧痛もあり、臍の上下も抵抗圧痛があり、気滞の所見が明らかで、また舌質が暗く血の流れの滞り(瘀血)も示唆されました。
    また脈を重按すると細脈が明らかとなり気・血・津液の量の不足も考えられました。
    診察の所見に基づき、手術前ということもあり気血の流れの改善、つまり理気薬と駆瘀血薬を主とした処方を組みました(総重量149g)。
    さらに抗ガン作用の強い動物炭薬(露蜂房炭1.5g、全蝎炭0.5g、蜈蚣炭0.5g、しゃ虫炭2g、蟾酥0.01g、代赭石末2g、肉桂末0.5gの混合)を、手術中の出血を減らす目的で止血作用が強く、また瘀血を除く力もある雲南白薬とともに、散薬として服用しました。
    また駆瘤膏ⅡBとⅣを行間(肝臓ガンのツボ)及び中渚と内関に塗布するようにしました。
    手術は7月29日に行われ、腫瘍は完全に切除できたそうですが、肝硬変や食道静脈瘤の所見が診られたそうです。
    貧血がひどく輸血をしました。
    手術は食欲の低下などもありましたが、8月半ばより食欲も回復し、徐々に元気になってきました。
    遠方のため十分な診察が出来ませんでしたが、電話や手紙で状況を判断し、基本的には気・血・津液を補う処方を中心に、駆瘀血薬を加えて煎じ薬とし、動物炭薬と軟膏も同様に続けております。

    目安である腫瘍マーカー(AFP-RIA)は、1998年9月に13.3と高くなりましたが、その後抗ガン作用の生薬を増やした結果、徐々に下降し、1999年5月には4.8にまで落ちています。
    現在も同様の治療を継続していますが、本人の都合により1日分の薬を3日で服用する方法で行っています。
    2000年1月には3.5となり、多少血小板が少ない以外は肝機能を含め異常が無く、現在も健康に過ごしておられます。

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その他のガン

  • 咽頭・喉頭ガン

    声や外貌の障害が多く、精神的なケアが重要

    咽頭は上中下の三部位に大別され、下咽頭は喉頭と二軒長屋で壁一つのような隣同士の関係になります。 喉頭ガンも下咽頭ガンもともに喉頭全摘が行われることが多く、一時的に声を失う事になり、精神的な負担も大きいものがあります。食道音声や人工喉頭などにより再び会話が可能になりますが、その会話能力には個人差が大きく、また頚部という人目に付きやすい部位ということもあり、精神的なケアが重要なガンといえます。

    咽頭・喉頭ガンで受診した患者数は10名ですが、喉頭ガンの場合は裏側の下咽頭粘膜を残せますので、修復は容易であり術後の音声獲得も比較的たやすいことが多いのですが、下咽頭ガンの場合は食道の入り口という解剖上の特性もあり、手術により喉頭を含めて下咽頭粘膜を切除したあとには、食道の入り口に相当する下咽頭を再形成する必要があります。

    食道をそのまま持ち上げても長さが足りないため、結局食道は引き抜く形で切除することになり、その代わり胃の動脈と静脈を切断しないよう注意しながら管状に細工して吊り上げるか、空腸に動脈と静脈を付けて遊離状態で持ってきて血管縫合をした上で、空腸の上面を断端である中咽頭に、下端を胃の噴門と縫合するといった手法が用いられます。
    いずれの場合も喉頭ガンで単純に喉頭全摘した場合より、術後の発声訓練が困難です。

    気・血・津液全ての流れの調整と抗ガン剤の副作用予防で多量の投薬

    Oさんは60歳男性です。
    1996年4月に下咽頭ガンの診断を受け、某総合病院で放射線治療を受けている途中に、食道にも2カ所ガンが見つかり、結局ガン専門病院に転院して、6月中旬に頭頚部外科と消化器外科の医師の協力の下に、下咽頭及び食道の切除、さらに胃吊り上げ法による形成手術を行い、8月に無事退院しました。
    ただ退院時点で医師から術後の生活について特別な注意を受けなかったために、飲酒を含めて食生活なども従来通りの暮らしぶりをしていました。
    以後定期的に外来にて観察をし、発声もかなり上手く出来るようになっていましたが、1998年1月右の頚部中程のリンパ節が腫大したため、右根本的頚部郭清術をしました。
    これは頚静脈や頚の主要な筋肉を含めて深部リンパ節群を根こそぎ切除する方法です。
    2月に退院し外来治療をしていたところ、またも9月に今度は左上深頚部のリンパ節が腫大したため、上部の頚部郭清を行った後、両頚部に対して放射線治療を25回予定で始めました。
    放射線治療を7回終了した1998年9月26日に私のクリニックを受診しました。一時上手く出来るようになっていた発声も二度にわたる頚部郭清後はほとんど出来なくなってしまい、コミュニケーションがとりづらい事によるイライラも募っていました。

    初診時は脈診で全般に弦脈が目立ち、特に左関脈は明らかで、腹診でも上腹部が堅く、ストレスによる気鬱・イライラが著しいことが示唆されました。
    術後も続く習慣的な冷飲食により、舌質の色が暗いのみで赤みが少ないという、身体の芯の冷えが示唆されるにもかかわらず、爪の半月が10本全部にあり、イライラによる内熱の程度が強いことがここでも証明されました。
    爪の半月の数や大小、色の濃淡は身体の内熱・冷えの程度を示す指標であり、数が少なく大きさも小さく、色も薄ければ冷えの程度が強いことになります。
    但し本来爪と「肝」の機能は関連性が強く、爪が脆くなったり凹凸が出来たりするのは、肝の気血の異常をあらわすものと言われており、従って腹診や舌質の色などで身体の芯の冷えが示唆されるのに、爪の半月が数も多く、大きさも大きいOさんのような場合は、イライラによる内熱が強いと考えられるのです。
    なお爪の半月が両手合わせて8~9本の指に見られる場合が健康と見なします。
    Oさんは舌質の色や手術歴の多いことなどから、気滞のみでなく瘀血の所見も強く示唆されました。
    一般に頭頚部のガンの主病因は津液の流れの滞りによる痰飲がであることが多いのですが、Oさんの場合は初診時には舌苔は薄く、痰飲よりむしろ瘀血が目立ちました。
    ただ従来かなり飲酒量が多く、術後も赤ワインを飲んでいたそうですから、肺や脾胃の脈に痰飲を表すとされる滑脈が見られることと考え併せると、痰飲の存在も考慮すべきと考え処方を組みました。

    結局、気・血・津液全ての流れの調整をすることが必要になり、当然の事ながら生薬量も多くなり、しかも制ガン効果を目的とする瘀血を除く生薬や清熱解毒の生薬を無くすわけにはいかず、基本的には多量の生薬を煎じる操作が続くことになりました。
    もちろん徐々に気・血・津液の流れの調整をする生薬の割合を減らし、気・血・津液の量を増やす生薬に切り替えることをしながら経過を診ています。
    軟膏治療は煎じ薬と初めから併用しましたが、動物炭薬も11月から併用し始め現在に至っています。
    定期的に手術をした病院と私のところとで経過観察をしていますが、異常なく経過しており、食道発声もだいぶ上手くなりそういった意味からもストレスは緩和されるようになっています。
    また初診時にきつく冷飲・多飲を慎むよう言ってありますので、飲食の節制も守り顔色も非常に良くなっています。

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