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部位別ガン症例

肝臓ガン

お血を中心として気や津液の流れの改善を重視

  肝臓ガン肝臓ガンで受診した患者は16名ですが、初回治療後に再発してから、しかも腹水がたまったり黄疸が出てから受診する重篤な患者が多く、予後は決してよくありません。ただここに紹介する患者は、縁者が従来から受診していた関係で、手術前に私のところを受診し、しかも病期の進行が早期であったため、良好な経過をとっています。
  再発を繰り返し、肝動脈を介して直接ガン組織にアルコールや抗ガン剤を注入するなどしてから受診した場合でも、QOL.の改善には役立つことが多いものの、進行し腹水が増加するなどのために、十分な効果を顕せない場合も多い。やはり基本は早期発見に尽きるといえます。
  肝臓が血液のプールとも言える臓器である関係から想像できるように、肝臓ガンはお血と密接な関係があります。従って治療にはお血を中心として気や津液の流れの改善を重視して行います。なおしばしば他の臓器のガンが肝臓や肝内胆管に転移しますが、その場合は原発部位のガンの性質に従って治療をしますので、肝臓にガンが見られても必ずしもお血をターゲットにするとは限りません。
  肝臓ガン治療といえば、インターフェロンという薬を連想する人も多いと思われますので、ここでインターフェロンについての考えを述べておきましょう。徐々に肝炎の中でもインターフェロンが有効なものとそうでないものとの鑑別が遺伝子検査でつくようになっておりますが、少なくとも無効であった症例は、従来いわれている肝炎(B型、C型)から肝硬変を経て肝ガンに移行する速度がいっそう速まることは確かなようです。将来インターフェロン療法の適応が限定されてくるでしょうが、現在のように肝炎に対する有効な治療法がないので、インターフェロンを使いましょうというような安易な発想で本療法を行うことは好ましくないといえます。
  一方で肝炎に対する漢方療法は、小柴胡湯などの柴胡剤のみを用いる事に拘るような治療法でなければ、非常に有効であり、肝炎から肝硬変、さらに肝ガンへの移行を防止する意味からも、今後積極的に検討されるべきと思います。特に抗ガン作用を持つ生薬として汎用される白花蛇舌草と半枝蓮は肝炎の炎症を除き、GOTやGPTなどの検査数値を低下させる働きも併せて持っているので、正しい診断(辨証)に基づいた基本処方に、これらの生薬を加味する方法は有用です。
  肝臓は全身の静脈血が集まり血液を浄化する場所でもあり、肝臓に作用するといわれている生薬の数は多いのです。先ほども書きましたように、肝ガンもお血が病因として重要視されているタイプのガンですので、駆お血薬を中心として用薬することになりますが、あくまでもどの薬を用いるかの基本は、四診に基づく辨証によることは他の臓器と同じです。
  肝臓自体は経絡の上から見ると、肝経、胆経、脾経、胃経、任脉など多くの経絡の通り道に位置しますので、ストレスを背景とする気の滞りや飲食による不摂生などと密接な関連を持つことになります。「気滞れば則ち血も滞る」といわれるように、お血は気滞や冷えに起因することが多く、冷飲食をしない、身体をクーラーなどで冷やしすぎない、上手に気晴らしをするなどの日常の養生が大切です。
  いっぽう黄疸を主症状とする場合も、津液の滞りである痰飲・湿邪が長期間溜まっていたために化熱し、「痰熱」「湿熱」と呼ばれる邪が溜まっているケースが多いので、上手な気晴らしとともに、飲食の節制(冷飲、多飲の禁止)を厳しく守る必要があります。
  季肋部や側腹部の痛みは気滞やお血によるもので、脹満感を伴う場合は気滞により、刺痛が主ならばお血によると区別できます。この自覚症状の改善は比較的容易で、むしろ比較的改善が難しいといわれる倦怠感でも1〜2ヵ月の服薬でかなり改善します。
  腹水が溜まるのは末期で厳しい状況にあるといえますが、甘遂、芫花、商陸など内服では作用、副作用ともに強く使用が難しい生薬を、私のクリニックでは粉末にして軟膏剤
逐水膏、消膨脹膏として繰り返し臍(神闕というツボ)に塗ることで、副作用もなく、腹水を除くことに効果を上げています。

肝臓ガンの症例  手術前の駆お血薬を主とした処方が招いた良好な予後

  Nさんは68歳の女性。1990年11月と1992年6月、さらに1995年8月〜10月にB型肝炎の診断のもとに入院あるいは外来治療で点滴などの治療を受けたそうですが、インターフェロンは使わなかったとのことです。1997年2月感冒後に咳が止まらず、血液検査をしたところ肝機能は正常だったものの、腫瘍マーカー(AFP)が上昇しており、CTやエコー、血管造影の結果、5月になって直径1.5cmの腫瘍が肝臓の左葉に見つかり、手術待ちの7月に来院しました。
  四診による診察の結果は、上腹部が堅く圧痛もあり、臍の上下も抵抗圧痛があり、気滞の所見が明らかで、また舌質が暗く血の流れの滞り(お血)も示唆されました。また脈を重按すると細脈が明らかとなり気・血・津液の量の不足も考えられました。
  診察の所見に基づき、手術前ということもあり気血の流れの改善、つまり理気薬と駆お血薬を主とした処方を組みました(総重量149g)。さらに抗ガン作用の強い動物炭薬(露蜂房炭1.5g、全蝎炭0.5g、蜈蚣炭0.5g、しゃ虫炭2g、蟾酥0.01g、代赭石末2g、肉桂末0.5gの混合)を、手術中の出血を減らす目的で止血作用が強く、またお血を除く力もある雲南白薬とともに、散薬として服用しました。また
駆瘤膏UBとWを行間(肝臓ガンのツボ)及び中渚と内関に塗布するようにしました。
  手術は7月29日に行われ、腫瘍は完全に切除できたそうですが、肝硬変や食道静脈瘤の所見が診られたそうです。貧血がひどく輸血をしました。手術は食欲の低下などもありましたが、8月半ばより食欲も回復し、徐々に元気になってきました。遠方のため十分な診察が出来ませんでしたが、電話や手紙で状況を判断し、基本的には気・血・津液を補う処方を中心に、駆お血薬を加えて煎じ薬とし、動物炭薬と軟膏も同様に続けております。
  目安である腫瘍マーカー(AFP-RIA)は、1998年9月に13.3と高くなりましたが、その後抗ガン作用の生薬を増やした結果、徐々に下降し、1999年5月には4.8にまで落ちています。現在も同様の治療を継続していますが、本人の都合により1日分の薬を3日で服用する方法で行っています。2000年1月には3.5となり、多少血小板が少ない以外は肝機能を含め異常が無く、現在も健康に過ごしておられます。

肝臓ガンに対応するツボ:軟膏を塗布する場所
行間

行間

足の第1、2指の間
内関

内関

腕の手のひら側で、手首のしわの中央から上へ指3本分
外関

外関

内関と反対の処
中渚

中渚

こぶしを握ったときに出る手の甲の薬指と小指のけんの間のへこみの中央

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中醫クリニック・コタカで調合した軟膏、散薬をご紹介しています。
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